山頂に登ったときに眼下に広がる雲の海に感動した、という経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。
雲海とは文字通り「雲の海」であり、高地から眺める雲海の景色は山登りの醍醐味のひとつです。
今回は、そんな美しい雲海を拝むための条件および時期や時間、そしておすすめの雲海スポットについてご説明します。
sea of clouds
雲海が出来る条件や時期・時間
1.雲海って何?
雲海とは、航空機や標高の高い山の上から見下ろしたとき、眼下に望むことができる雲や濃い霧のことを指します。
大空一面に広がる雲はまるで海のように見えることからこの名前がつけられました。
雲海は気象条件や地理的な条件などがそろったときに初めて発生する自然現象であり、山を豪快におおいつくす雲海や雲海のすき間から山頂が見える光景はまさに“雄大”のひと言です。

2.美しい雲海を拝むために必要な条件
晴天の日の早朝に見られる一般的な雲海は、以下の気象的条件と地理的条件がそろったときに発生します。

Meteorological
[雲海が発生する条件(気象的条件)]
①放射冷却が十分な状態でなおかつ湿度が高いこと
私たちが暮らしている地球の地面からは宇宙空間に向かって常に地表の熱が放出されています。(地球放射)
地球放射は日中は太陽から届く熱によってさえぎられるため空気は温められるのですが、太陽からの熱をさえぎる雲がない夜間は地球放射の熱がそのまま宇宙空間へと放出され、気温が下がります。これが「放射冷却」という現象です。
雲海を望むためにはこの放射冷却と晴天、大きな気温差、そして風の弱さが重なることが大切です。さらに、上空が高気圧におおわれていることも大切であると言われています。
②綺麗に晴れていること
寒暖差が大きく晴天の日が多い春や秋が雲海が発生しやすいシーズンとなります。
③前日の日中の気温と当日の朝の気温差が大きいこと
寒暖差が10度以上あることが望ましいです。
④風が強くないこと
風が強いと雲海が吹き飛ばされてしまいます。

geographic
[雲海が発生する条件(地理的条件)]
①内陸の盆地や山間部
発生した濃霧がたまりやすい場所であることが重要です。
②海や川、湖から湿度の高い空気が入り込みやすい場所
湿った空気が入り込む場所は雲海が発生しやすくなります。

3.雲海の種類
雲海は高度の高い場所に発生すると考えられがちですが、条件さえそろえば高地ではなくとも、山間の低い場所や内陸の盆地に発生することもあります。
空気が冷やされて雲(濃霧)が発生するタイプの雲海
内陸部の盆地や山間の低い場所に発生する一般的なタイプの雲海です。 放射霧によって発生する雲海であり、主に夜明けから早朝の時間帯に見ることができます。
空気の中にある水蒸気が冷却されて雲(濃霧)が発生するタイプの雲海
- ①濃霧が山の斜面を這い上がる形で上昇し、高度が上がることで雲海になります。山あいの場所であれば一年を通して発生する地域もあります。
- ②地表の温かく湿った空気が下層部分から冷却されることで雲海が発生します。夏の季節に比較的多く発生します。
- ③雨上がりの日の夜間に空気が冷却され、放射冷却によって雲海が発生します。局地的に発生する雲海のひとつであり、主に早朝の時間帯に多く見られます。
- ④湖の霧や川の霧、蒸気の霧など温かい水面の上に冷たい空気が流れ込むことで雲海が発生します。水の温度と気温の差が大きいほど霧の発生量が増加します。

4.日本国内で見られるおすすめの雲海スポット
高ボッチ高原(長野県)
高ボッチ山は長野県の岡谷市と塩尻市の境界部分に位置する山です。 標高が約1,665メートルあり、山の高地にある高ボッチ高原からは富士山を筆頭に南アルプスや北アルプスにかかる雄大な雲海を眺めることができます。
大江山(京都府)
大江山は京都府の丹後半島の付け根にあたる宮津市、福知山市、与謝野町をまたぐ連山です。 標高は約832mで、古くから酒呑童子の伝説でも知られている山でもあります。 8合目にある鬼嶽稲荷神社から望む雲海は絶景ポイントとして人気が高く、毎年多くの参拝客でにぎわいます。
雲海テラス(北海道)
雲海テラスは北海道の勇払郡占冠村中トマムにあります。 主に6月から9月までの季節が雲海を見ることができるハイシーズンとされています。 地上約1,088mの場所に設置されたテラスから眺める雲海は近年の北海道観光の目玉として高い人気をほこっています。
雲海で心と体のヒーリング体験を
一面に雲が広がる雲海は気象的な条件と地理的な条件が重なったときに初めて見ることができる貴重な光景です。
人によっては「人生観が変わる」とまで言われる雲海の風景。
ぜひ、一生に一度は見てみたい絶景のひとつですね。